ショートショートショート takumi’s blog

自殺したらしいわ。

 

もし、もしもし、おい、もしもし、聞こえてんのか、おい。

 

はい。

 

お、あ、あのな、ブッ、自殺したらしいわ。

え、誰がですか、え、あっ、というよりなんで知ってるんですか。

 

なんでて、なんでもクソもあるかい。

 

ちょっと、頭がぐちゃぐちゃで話の意味がわからないんですけど。

 

お前、おれの電話ずっと無視しとったやろ、まあそれは、ええけどな、掻き回してくれたお前に、お前にはな絶対に伝えたらなあかん思ってな電話ずっとかけてたんや。

 

あたしに、よく電話かけてきて話せますね。

 

それはお前な、さっき言うたやろ、説明したやろ、うちらな、付かず離れずお気楽ご気楽でやってたんと違うんや。

 

あたし、本当に意味がわからないんです、なんでこうなってるか、なんでこうなったのか、もう頭がぐちゃぐちゃで。

 

そんなおれかて知らんわ、お前がよく知ってるだろ、んなもん。

 

自殺したあたしに、自殺したらしいわって報告されても、どう返事したらいいかわかりませんよ、それと、よく電話してこれて、あたしもよく電話、携帯で話してるなって戸惑いしかないです。

 

ちょっと待てや、色々と、おちょくってんのかお前、自殺、自殺ってなんの話や。

 

いや、色々とおかしいのはそっちですよ、まあ、あたしもですけど、それじゃ最初から整理すると自殺したらしいわって誰が自殺したんですか、自殺したあたしにそんな報告しないだろうし。

 

おい、自殺したらしいわなんて一言もおれは言うてない、耳はなんで二つあるか知ってるか、人の話をよく聞くためや、ええかよく聞けよもう一度言うたる、おれはな、無事、察したらしいわって言ったんや。

 

え、なんの話だかさっぱり。

 

なんでおれがその話まで説明せなあかんのや、ほんまにわからんのか。

 

はい。

 

お前がおれの女と揉めて喧嘩したやろ、そしたら話が大きくなって尾ひれ羽ひれがついておかしくなってお前に流れて、てめえの女を傷つけた、お前をおれが許さん殺す、殺しに行こうとしてると。

 

それはそうですね、聞きました、だからあたしは。

 

せやろ、せやから、あたし、お前のことやんな、おれはあいつを諭したんや、お前らは元々、反りが合わへん人間同士なんやからな、もう関わんでええ、本当に誰かに体に傷つけられたり精神をおかしくされたらな、そんときは頼まれんでもおれが殺しに行ったる、おれのこと好きなら今回はもう忘れろ二度と関わるな、それで終いや、それでええなってな。

 

はぁ、はい。

 

はぁ、やあらへんで、ため息つきたいのはこっちの方や、だからお前に電話して、あいつはおれの話で無事、察したみたいやから、お前もあいつともう二度と関わらないでくれって、おれがな、気を回してお前に電話したんや。

 

なるほど、そういうことだったんですか、でも、もう遅いですよ何もかも。

 

なんでや、こっちが話をつけた、それでお互い女同士はさようならで手打ったらええやんけ、なんでそうなるんや。

 

だって、あたし、あなた殺して、それからそのまま飛び降りて自殺したんですよ、確実に死んだ自信があります、アスファルトに叩きつけられてすぐ、朧気な意識があって、かろうじて感触がある手が何かを触ってるなと、それで、手を動かしたら、あ、これ髪だあたし髪の毛だってわかって、そのときに頭がぐちゃぐちゃになってるのもわかって、今日、髪巻いて家を出た意味ないなって思っちゃって、変に冷静な、自殺を失敗したかもしれないのに、そんなこと思う自分がおかしくて、ぐちゃぐちゃになってる頭に触れている手を動くだけ動かしたら脳みそかわからないけど頭の中の奥の何かに触れた瞬間、ものすごい吐き気とともに、あたしの記憶がなくなったんですよ、記憶が途切れる寸前にわたし確信したんですよ、あたし今、死んだなって、それに付け加えると、あなたのことあたし殺したのも間違いないです、死んでることをちゃんと確認したので、だから、あなたもあたしも死んでます、死んでるんですよ。

 

おれもう頭ぐちゃぐちゃや、いや、お前にかけたシャレじゃあらへんマジなやつや、お前の話が本当だとしたら、なんでおれはお前に殺されたこと覚えてないんや。

 

あなたも頭ぐちゃぐちゃになって死んだから記憶が飛んでるんじゃないですかね、あ、違うかも、携帯片手にタクシーを待ってたあなたを、大型のセメントの何かクルクル荷台で混ぜる何だっけ、あ、そだそだミキサー車だ、そのこっちに走ってくる大型のミキサー車を目掛けてあたしが後ろから背中を思いっきり押して轢かれてうまいこと死んだから何が起きたかも死んだこともわかってないのかも、あなた頭悪いし。

 

何で死んだのに電話を、電話をお前と携帯で話してるんや、元から生きてる実感なんかなく生きてきたもんやから、わからん今おれは生きてるのか、お前の話が本当で死んでるのかわからへん、ここはどこや、おれはどこにおるんや。

 

あたしに聞かれてもわかりませんよ、あなたの姿も周りの様子も見えてないし。

 

なあ、今から天国行きとか地獄行きの案内あるんやろか誰か迎えに来るんやろか。

 

あたしもこの状況、何が何だかわからないから、とりあえずこのまま携帯で話続けるってのはどうですか。

 

それはかまへんけど、おれ本当に死んだんやろか。

 

そうですよ間違いないですそれは。

 

なあ、おい。

 

しつこいですね相変わらず、だからあたしがあなたのこと殺したんで死んでますよ。

 

ちゃうて。

 

んじゃ何ですか。

 

お前、いい加減、気味悪い敬語やめろや。

 

そこですか、今更じゃないですかそんなことは。

 

だからちゃうて、聞きたいことあんねん死んでるなら死んでるでお前とこうやって話せるうちにな。

 

いいですよ何ですか。

 

お前、おれと結婚したこと後悔してるか。

 

しょーもな、ばりきもいですやん。

 

 

 

 

 

 

 

終わり。